
でも、叔母様、お金目当ての結婚と、分別のある結婚と、どこがどう違うの? どこまでが分別で、どこからがお金目当てだと言えるの?
ーお金目当ての縁談は残念だ、という言葉に対して
三宅夏帆さんの『人生を狂わす名著50』のトップバッターとして紹介されている本書。
実は、上下巻ともに買ってはいたのですが、時間がなくてなかなか読めていなかったのでした。
タイトルから説教くさい内容だったら嫌だなあ…と思っていたのですが、
三宅さんの紹介曰く「ラブコメ」ですと!?
ラブコメには目がなくてむしろ小説も書いてしまうタイプなので、心惹かれたのでした。
お盆休みを利用して、一気読み。
上巻の途中まで読んでしまえば、後は下巻はすぐに読めちゃうと思います。
(下巻の方が急展開で時間もすぐに過ぎてしまう)
この作品の特徴は、「賢い」人たちを中心として、それを取り巻く「愚か」な登場人物たちにすらも愛情が注がれている点だと思います。
そうだよね、人間って、大体はこれぐらい愚かなところもあるよね笑
なんか、今まで「正しくあろう」と頑張っていた自分が、浄化されたような気分でした。
それと同時に、リジーことエリザベスが、うじうじしたりしないところが好きだなあと思いました。
彼女って、保身になるようなことをしなかった?ような気がします。
何か隠し事をすることがあっても、それは家族のためだったり、事態をややこしくしないためだったり。
自分を守るためにのみ悪知恵を働かせるウィッカムとは対照的。
ダーシー氏が素晴らし過ぎた。
なんだかんだ、お金の力で解決してしまったように見える彼ですが、
エリザベスを愛情を持って見ていた人でなければできない心遣いに胸を打たれました。
エリザベスとダーシー氏の結婚生活シリーズだけでも読み続けたい…笑
なんと言ってもこの夫婦の好きなところは、エリザベスがダーシー氏に大して一歩も引かないところ。
そしてエリザベスがからかいまくっていること笑
勉強する気があれば、方法はいくらでもあります。
ー住み込みの家庭教師や母親の教育がなかったことへの質問に対して
全然関係ないけど、マスターキートンに出てくるユーリー・スコット教授の「人はその意志さえあれば、いつでも学ぶことができる」というセリフに通じるものがあるなあと思いました。
エリザベスかっこいい…!
いわゆる一目惚れや、ろくに言葉も交わさぬうちに燃え上がった恋こそほんとうの愛であり、感謝や尊敬から生まれた愛など邪道であり不自然だとするならば、彼女を弁護する余地はないかもしれない。だが、ひとつだけ弁護の余地があるとすれば、彼女はウィッカムへの愛によって一目惚れを経験しており、それが不幸な結果に終わったために、もうひとつの、あまり華やかではない愛のかたち、すなわち感謝と尊敬を基盤にした愛のかたちを選んだのである。
この部分が特に刺さりまくりました。なぜかって、私の今の好きな人を好きになった過程が、こんな感じだったから。
最初から一目惚れというわけではなくて、出会ったときは、どうせそんなにご縁も長続きしないだろうな〜とか思っていたけど、
こんなブログを立ち上げて大量の本を読むぐらい、彼のことを好きになってしまった。
今まで私は、人の好意というものを真っ直ぐに受け取れないぐらいに捻くれていたけれど、彼の行動や言葉は、真っ直ぐに受け取れるようになったと思う。
時間はかかるけれども、じっくりと自分と向き合おうと思えたのは、彼との出会いのおかげなんだよなあ。
……っと、小説って、面白いですよね。
全然別の人生を生きている主人公たちの生き様のおかげで、自分の人生に大切なものを思い出させてくれるから。
今もこの文を書いていて涙が溢れてきてるー! 名文は感受性を豊かにしてくれるなあ。
ブリジット・ジョーンズの日記は、この『高慢と偏見』を下敷きにした作品なんだとか。
ダーシー氏ですしね。(コリン・ファースはどちらのダーシーも演じている)
今、「高慢と偏見とゾンビ」、という、頑張ってもキワモノにしかならなさそうな設定なのに違和感がないという奇跡みたいな映画を見ています。
そっちもちゃんと見終えたら感想書きたいなあ。
ちなみに、私が読んだのはちくま文庫版でした。
確かレビューを読んで評判がいいところ選んだのですが、読みやすかったです!
今回は、ジェイン・オースティン作『高慢と偏見』について書きました。