
リストから読書は始まっている
これを読んで、胸がときめかない読書好きは居るのだろうか。
そんなふうに思わせる一文から、この本の前書きは始まっています。
よくあるオススメ本リストや、「マンガの中の本棚に描かれた本のリスト」「刊行しなかった本のリスト」「古書で買った書体字典に赤線で引かれた出典のリスト」など、
ユニークでワクワクさせてくれるテーマで集められた、8章展開です。
ただ単に無味乾燥なリストが並べられているのではなく、そのリストにまつわる逸話やエッセイも添えてあるのが嬉しいところ。
「本のリストを読む面白さは、とくに目的を持たずに本屋や図書館の棚を逍遥しているときの気分に似ています。
(リストから読書は始まっている より)
まさにこんな感覚を味わえる本です。ちなみに、逍遥とは、あちこちをぶらぶら歩くこと。
本棚で思いがけず面白そうな本に出会うときの楽しみはやっぱり格別。
目次を読んで気になったのが、「本好きの女性が手紙で注文した本のリスト」。
この一文だけでも、たくさんのエピソードができそうですね。
あなたなら、どんな本が並んでいると思いますか?
読書好きの方であれば、目次を読んで、自分だったらこんなリストにするかも、と考えてみるのも面白いかも。
教養に「役立つ」本のリストだけでなく、誰かのひたむきな思いを乗せて作られたリストまで。
眺めているだけでワクワクさせてくれること間違いなしです。
今回は、南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木潤、林哲夫、正木香子著『本のリストの本』(創元社)について書きました。